国際結婚のビザ相談事例① 夫婦の年齢差があるケース

相談内容

私は、日本人男性(42歳)です。今、日本語学校に通っているベトナム人女性(25歳)と付き合っていて、そろそろ国際結婚しようと思っています。結婚手続については、東京のベトナム大使館と市役所の両方で済ませました。これから、ベトナム人妻の在留資格(ビザ)を変更(留学ビザ→日本人の配偶者等ビザ)しようとしているのですが、年齢差があること、私に離婚歴があることなど、ビザの審査上、不利にならないか心配です。

※以下、「日本人の配偶者等ビザ」の在留資格のことを、単に「配偶者ビザ」と記載します。

行政書士からの回答

ご結婚おめでとうございます。ご夫婦の年齢差がある場合、一般的には、配偶者ビザの審査は厳しくなります。お客様のケースでは、17歳差がありますので、少し厳しく審査されます。配偶者ビザの審査は書類審査のみです。つまり、面接がありません。国際結婚の場合、年齢差があるように見えないご夫婦も多いのですが、書類上、17歳という年齢差が明確に書かれており、書類上だけで審査されるため、どうしても審査は厳しくなります。ですが、お客様の場合、ビザ審査上の懸念点は年齢差だけですので、十分対策は可能です。以下、具体的に説明しますね。

年齢差があると配偶者ビザ審査が厳しくなる理由とは

年齢差があると、配偶者ビザの審査は厳しくなります。現場感覚としてもそうですし、実際に出入国在留管理局の審査官からもはっきりと言われたことがあります。

審査官から言われたことです。

「我々も、先入観で審査しているわけではありません。統計的に、年齢差と離婚率は、おおむね比例しています。年齢差が大きい場合、1年以内の離婚も多いです。こうした事実がある以上、慎重な審査をせざるを得ません。」

また、日本人同士では年齢差のある婚姻件数は少ないです。人口動態調査の統計によると、40代男性が20代女性と結婚している確率は、3000組に1組。10年前でも2000組に1組です。

こうした客観的事実がある以上、どうしても、配偶者ビザの審査を厳しくせざるを得ないようです。

また、年齢差がある場合、年長者側のご両親が鬼籍に入っている場合も多いです。その場合、両親に会っていないまま結婚することになりますので、この点も婚姻の真剣度、信憑性という判断上、マイナスになってしまいます。

どれくらい年齢差があると審査が厳しいのか?

傾向として、年齢差が20歳以上ある場合、審査が厳しくなることが多いです。そして、年齢差が30歳以上あると、かなり厳しく審査されます。年齢差が30歳以上ある場合、これでもかというくらい追加書類を求められます。想定される追加書類については、最初から出しておくという方法もあるのですが、それが逆効果になることもよくあるため、慎重に考える必要があります。

夫婦の年齢差がある場合、どんな要素があれば配偶者ビザを取得しやすいのか?

国際結婚した夫婦の年齢差がある場合でも、配偶者ビザがスムーズに許可されるケースもあります。下記の要素を全て満たしている場合、ほぼ満たしている場合などは、追加書類も少なく、スムーズに許可されています。

  • 双方の両親が賛成、理解している。ご両親が鬼籍に入っている場合、兄弟姉妹全員と会っている。そして、会っていることの証拠を提出できる。この証拠は写真でなくても構いません。兄弟姉妹からの簡単な上申書でもいいですし、それが難しい場合、いつどこで誰と会って、どのような会話をしたのか詳細に書くことで、本当に会っていることの客観的証拠となります。
  • 年齢差、国際結婚というハードルを乗り越えてでも結婚したいという明確な理由があり、それを説明できる。
  • 交際期間や同居期間が長く、交際中に撮影したご夫婦の写真も多数ある。
  • 夫婦間に共通言語がある。例えば、外国人側が日本語を十分に理解できる。あるいは、夫婦ともに英語を話せる等。
  • 経済的には何の問題もない。継続した安定収入、もしくは十分な資産がある。

離婚歴がある場合、前婚期間や離婚原因も審査されることがある。

国際結婚の夫婦間に年齢差がある場合、離婚歴も重要になってきます。特に、前の結婚相手も外国人であった場合(外国人側から言うと、前の結婚相手も日本人であった場合)、今回の結婚についての本気度や安定継続性が慎重に審査されます。

こうした場合、お二人の本気度、ご夫婦の結びつきの強さを、複数の手段、複数の角度から証明する必要があります。例えば、出会いから結婚に至るまでの詳細な経緯説明書、お二人の写真を時系列に整理したもの、共通の知人友人も祝福していることがわかるような写真、そして、メールの履歴などですね。写真やメール履歴については、月日を記載し、簡単なコメントも添えました。例えば、「〇年〇月撮影。夫婦がはじめて会った時の写真。場所は〇〇」といった感じです。

年齢差や離婚歴が有利になることもある

年齢差や離婚歴があるからこそ、相手への優しさや包容力を持つようになったということをよくお聞きします。そういったエピソードを、交際経緯書に具体的に書いてください。臨場感あふれる文章で書くことで、夫婦の結びつきの強さ、真剣に交際され、真剣な気持ちで結婚に至ったことを説明できます。

留学生が学校を卒業すみの場合に気をつけること

たとえば、学校を卒業したのが3月で、在留カードの期限が9月の場合を想定します。この場合、9月後までは、ビザ変更(在留資格変更)しなくても大丈夫です。ですが、

配偶者ビザの申請書類では、1つのミスが致命的になる

国際結婚のご夫婦の年齢差がある場合には、配偶者ビザの申請書類の作成にも細心の注意が必要です。1つの記入ミス、誤記が致命的になります。年齢差がある場合、単なる記入ミスと判断してもらえず、あえて隠したと判断される傾向にあるからです。ですから、書類を完璧にそろえ、ミスなく申請することが非常に重要です。

これまで、つくばワールド行政書士事務所では、年齢差のあるご夫婦のビザ手続を多数サポートさせていただきました。皆さん、相手のことを思い、お互いがお互いを気遣われている様子をお見受けしてきました。当事務所では、ご夫婦に年齢差があっても、それが30歳を超えない程度であり、お二人が真剣に交際されておられるのでしたら、絶対に配偶者ビザを取るという気持ちで手続きを進めております。


この記事を作成した人 つくばワールド行政書士事務所 行政書士 濵川恭一

 

 

 

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